PyCon JP 2016 に参加しました。Development Splint の日程をまだ残しておりますが Conference Day の振り返りです。ちなみに自分の活動振り返りおよび感じたことなどがおもで他の登壇者のかたのセッションのレポートはありません。つまりポエムです。

PyCon JP 2016 とわたし

昨年は以下のエントリにて、CfP だせばよかったかなとぼやいていた次第ですが、

今年はイベント開催中の(会社的な)状況がまったく見えなかったので CfP を見送ってしまいました。Lightning Talks については、ネタが思いつけば手を上げたかったのですが、至らず。いま思えば SymPy ネタなどで攻めていけばよかったですね。PyCon JP 2017 ないし、APAC で CfP 出そうかなとは考えています。

今回、PyCon JP としても初めての試みであった Product Fair の モデレーターをつとめる機会を賜りまして、セッションという意味での活動は Product Fair が主でありました。

Product Fair を終えて

上述のとおり Product Fair の モデレーター を担当しました。今回の機会を賜りましたことに関係者の皆様へは心よりの御礼申しあげます。

過去のモデレーター経験というと エンジニアサポート CROSS 2015 での Python コミュニティの集いが印象深いです。

余談ですが今回の PyCon JP 2016 もまさに「Webアプリケーショから機械学習まで」幅広く登場した Conference となり、上記のタイトルはいま振り返ってみるとますます言い得て妙ですね。

Product Fair は Google、Microsoft、NVIDIA (敬称略、順不同) のパネラーが集うという豪華なフェアとなりました。はじめにオファーをいただいたときから、これだけのパネラーを迎えられる PyCon JP のプレゼンスの大きさをひしと感じておりました。

モデレータという裏方でありつつ、参加するからにはよりよいイベントとなるよう、開催にあたりパネラーのみなさまおよび運営チームのかたとディスカッションを重ねました。事前に期待値や方向性のすり合わせができたことはよかったと思っており(トーク内容については予定調和にならないよう、台本のようなものはありまんでした)、当日はさまざまな観点からお話をうかがうことができました。

パネラーのみなさまのトークスキルに助けられたところがあまりにも大きかったとは思いますが、モデレータとしては楽しんで参加することができました。ご来場のみなさまがどのように受け止められたかは定かでありませんが、少しでも参加意義を感じていただけておりましたら幸甚です。

ちなみに、Tech系のモデレーターをお探しでしたらオファーいただければと思いますのでお気軽にご連絡ください (笑

開催前に考えていたこと - キャズムを超えた Python

じつは PyCon JP 2016 の開催前、良い意味でも悪い意味でも 今回は大きく様変わりした Conference になるのではないかと考えていました。その最大の理由は、開催時点で Python が明らかに キャズムを超えていた ことです。少し言い換えた上で補足すると、Geoffrey Moore の「キャズム理論」における (キャズム = Early Adapter と Early Majority の間にある Crack で、ここを乗り越えると新製品やテクノロジーが普及するという主張) を超え、Early Majority の層まで Python が完全にリーチした、リーチしてからからはじめての国内 Conference であった (と思っている) ということです。

Python はもともと、Google や Dropbox などでの採用が引き合いに出されるように、海外 (北米) では古くからメジャーな言語として取り扱われてきました。いっぽうで国内においては、PHP や Ruby、Java などに比べると Python は普及していないというのが過去数年のポジションでした。そんな Python が近年急速に認知度を高めてきているという見方は決して贔屓目によるものではなく、技術書籍の出版数などをみてもある程度客観的に明らかな事実であると言えるでしょう。この大きな要因としては、PyCon JP をはじめとする Python コミュニティや先進 Python ユーザーの実直な活動の成果が実ったということが第一にあり、そしてデータ分析・機械学習領域での Python の存在感が強烈であったからということが言えると思います。Product Fair でも少し言及したのですが、Google が Tensorflow を公開するという事件が国内 Python 情勢においてはエポックメイキングな出来事であったように思います。

Early Majority を引き合いに出したものの、つまりは「注目され、いままで足を運んでこなかった層が参加するようになる」ということです。第一にこれはポジティブな流れです。特定テクノロジーのユーザー増加というのは基本的には歓迎するべきであること、そして今年の Python のテーマ Everyone’s different, all are wonderful は、一定以上の母数と、それによって生まれる多様性があってこそ成り立つものだからです。

いっぽうネガティブな面としては、Diversity としては許容できない考えや立ち居振る舞いをする参加者が現れる確率が高まることです。「許容できない考えや立ち居振る舞い」というのは、卑近な表現でいえば参加者に迷惑をかけたり、強く不愉快にさせる行動のことではあるのですが、実際に何が該当し何が該当しないのかの線引きは難しいものがあります。その点、PyCon JP 2016 は Code of Conduct / 行動規範 として、おもにハラスメントに関する内容を明文化しています。

Tech系 Community においては、このようにハラスメント行為などについて明文化することは決して珍しいものではありません。1例として PyData Community の例を挙げます。

(ちなみに僕が Organizer をつとめる PyData.Tokyo でも上記ドキュメントを参照しています)

しかしながら、とても残念なことにこのような文書は (多くのWebサービスの利用規約がまたそうであるように)、重要でありながら参照されないケースがしばしば起こります。特に、そもそもそういったことに関心がないからハラスメント行為 (など) を行うわけであって、必要な人には届かないというのは常なのかも知れません。

とにかく、以上の「良い面と悪い面」が顕在化する Conference になるのではないかと漠然と考えていました。

開催後に考えたこと - PyCon JP らしさとその次に求められるかも知れないもの

Conference Day を終えて、PyCon JP らしくてよかったなというのが率直な感想です。

2014年から傾向の続いている「データ系」セションも引き続き多く、馴染みのなかった参加者の方は (空間によっては) Academic な雰囲気や、スピーカーの多様性に驚かれたのではないでしょうか。Web フレームワークのトピックやパッケージングシステムの解説など、まさに「Web アプリケーションから機械学習まで」が進化して(?)「Web アプリケーションから人工知能まで」とも言えるような雰囲気でありました。

ランチやおやつタイムのこだわりや、メインであるトークセッション以外にもさまざまな催しが開催される点についても例年のよさが踏襲されており、「PyCon だなぁ」と感じることが多くありました。特に、関東地方以外を拠点とされる企業のみなさまと交流できる機会は多くないため、1年ぶりの再開という場面が数度あり嬉しく感じました。PyCon JP らしさが受け継がれていたのは、ひとえに運営チームのみなさまの活動、そして Conference を盛り上げるために準備されたすべてのかたの意志の賜物であると思います。

そうした素晴らしい雰囲気が大半を占めるなか、考えさせられるような出来事もありました。Code of Conduct を踏まえたときに気になる発言が聴衆からわずか(本当にわずかです)に見受けられた (と僕自身が感じた) ことです。これについては運営主体や他の参加者の問題ではなく、参加者の数が増えたことが要因であるのと、強いて言えば人類全体のリテラシー中央値の低さでしょうか (主語が大きい)。しかしながら、単に非難の目を向けていたのではなく、自分も同じことをしていないか、はっとしながら行動を振り返ったりもしていました。また、Diversity というトピックは近年の僕の関心事の 1つでもあることから、特定層向け Community の Organizer に率直な意見をぶつけて意見交換もしました。

いずれにしても、今後も Conference の規模および多様性が増すとしたら、参加者の品格や規律が注目される、あるいはされてしまう場面が増えるのだろうと思っています。大なり小なり問題は起こるものなので、蓋をせずに対応していくことが人類の進歩に必要なことではないかと考えています(主語が大きい)。

まとめ

昨年今年と、なんらか催しには携わっているものの Session Speaker という立場ではなかったので、僕にとって PyCon は「何かをする場所」というよりも「何かを考える場所」になっている感があります。それはそれで人生にとって意義深いイベントの 1つであり、今回も非常に楽しむことができました。来年はまた違うかたちで盛り上がりに貢献できればいいと感じています。

PyCon JP 2016 に関わったすべてのかたへ心より御礼申しあげます。WELL-DONE!!